練習計画の必要性
日々の練習を行き当たりばったりで進めたり、なんとなく毎日同じメニューをこなしているようなことはないだろうか?例えば、ウォーミングアップでやっている三角パスやスリーメン。もうある程度の精度でできるものを、形式的に行うだけになっているチームが多いように感じます。もちろんまだ初歩的な段階のチームはパスの練習やスプリントの一環として、取り入れることは必要でしょう。しかし、同じ時間やっていても、すでに効果が期待できない選手もいるはずです。効率的なレベルアップのためには、選手やチームそれぞれの段階に合わせた練習計画の設定が不可欠です。チームや選手には成長や停滞、後退を含めた予測不可能な変化が必ずあります。そのような状況の中、的確に分析をし、目標を達成するために、練習計画があるのです。
チームや個人がどのように進んでいくのか、何を優先的に解決するべきなのか、目標とするところまで、何が必要なのかを判断する材料にもなってきます。
次から練習計画における注意事項を交えながら、解説をしていきます。
練習計画が成長の度合いを図る指標になり、的確な練習の修正に繋がる
練習計画の作成にあたって
目標設定
ほとんどのチームや選手はそのシーズンにおける目標を立て、シーズンをスタートしていると思います。この目標設定にしっかりと重点を置いてください。選手と指導者(コーチ)がお互い納得した上で、今の集団に理想とする目標像を定めてください。目標を明確にすることが、具体的な練習計画を立てるための第1歩になります。
目標設定の際には、SMART理論と呼ばれる次の理論を大切にしてください。
Specific 明確である
Measurable 測定可能な目標
Achievable 達成可能
Realistic 現実的
Time-bound 期限が明確
夏に水着を着て、海に遊びに行くために S 明確である
ランニングを1日20分、 M 測定可能な目標 R 現実的
8月10日まで T 期限が明確
毎日行います。 A 達成可能
というような具合です。
詳しいことは別記事で今後紹介しますが、この5つの要素をしっかりと意識をして、目標設定にあたってください。
チームの目標と選手の目標のバランス
バスケットボールは先日の記事でも紹介した特性の通り、チームで行う競技である。
チームの意識が高まっていくことはもちろん不可欠である。一方でここの選手としての意識や自覚が低下することも懸念される。特に日本人はチームのために身を粉にして、働いたり、自己犠牲を厭わない性格を持ち合わせている選手も多い。しかし、この記事をご覧いただいている多くの方々が育成年代の指導者の方だろう。育成年代ではチームの勝利も重要ではあるが、選手がどんなコーチやチームメイトと出会っても自分個人を高めていくような観点で成長させていく必要がある。
よってそれぞれの個性に合わせて、そのパフォーマンスを高める練習計画を設定する必要がある。
チームの目標を優先して、選手個人の成長を妨げないようにチームの目標と個人の目標とのバランスを考える必要がある。
能力に合わせた課題設定
目標や指導する内容は選手の能力に合わせて、決定する必要がある。
なぜならば、
選手の能力よりも低すぎる目標▶︎退屈さ、練習への意欲低下
選手の能力よりも高すぎる目標▶︎失敗により、やる気と自信を失う
だからである。こうなるとプレイに対する集中力を失うばかりか、最悪の場合、怪我を招いてします。安全にかつ、意欲的に取り組ませることは、指導者にとって、重要なポイントである。日頃から選手をよく観察し、選手の能力に適しているかどうかをよく把握する必要がある。
やる気を損ねるような課題を設定しないよう、選手1人1人の成長の度合いをしっかりと把握すること
年代や発達に合わせた計画設定
同じ高校生、中学生といえど、選手の身体や心の発達段階には大きな個人差があるということを忘れてはいけない。年齢は一つの目安に過ぎず、実際の指導では選手1人1人の個性や特徴を見極め、それぞれに合わせた指導が必要。
特に中学生から高校生では、配慮が必要です。
休みの日を設けず、練習の日程を組んだり、1日に何試合も行ったり、試合後に居残り練習をするなどのオーバーワークにならないように配慮すること。最近話題にもなっているともやんさんの母校の近畿大学付属高等学校のバスケットボール部が
- 日曜日オフ
- 年休制度
などを取り入れながら結果を残したように、リフレッシュする時間を作ることも指導においてはとても大切です。練習が足りなくてもっと練習をやりたい選手は勝手に自分でやります。
「勝たせたい」
「成長させたい」
という気持ちからどうしてもたくさんのことを詰め込みがちだが、やるのは選手です。
我々指導者の存在意義は、「選手に課題を与えること」であり、それを解決するのは選手自身です。よく指導者の中で、「あの選手は私が育てた」「私が作った」などという声が聞こえてきますが、その考えこそ間違っています。選手は勝手に「育つ」ものであり、それをサポートするのが、我々指導者の責任です。この記事を読んでいただいている方は「選手のためになんとかしたい」という思いで必死な方もいるかと思いますが、どうか力を抜いて、「選手の育てる」という意識ではなく、「選手が育つのをサポートする」というようなスタンスで指導にあたると良いかもしれません。
目先の勝利だけでなく、選手個人の将来にも同時に目を向け、長いスパンで活躍できるようなパフォーマンス向上や傷害予防を頭に入れてください。
同じ年齢でも中学生・高校生年代では発達の個人差がとても大きい
オーバーワークに気をつける
休息を含めた余裕を持った練習計画を
選手は勝手に育つもの そのサポートをするのが我々指導者
まとめ
練習計画を作ることが成長の度合いを図る指標になり、的確な練習の修正に繋がる
SMART理論を取り入れた目標設定
選手個人の成長を妨げないよう、チームの目標と個人の目標とのバランスを考える
やる気を損ねるような課題を設定しないよう、選手1人1人の成長の度合いをしっかりと把握すること
オーバーワークに気をつけ、休息を含めた余裕を持った練習計画を
選手は勝手に育つもの そのサポートをするのが我々指導者
次回は具体的な練習計画の作成手順を紹介します。