コーナーポジションを巡る流れ
スリーポイントのラインの改正がされたのが2011年4月。
スリーポイント全盛の時代の中、コーナーポジションの重要性は現代のバスケットにおいて、長らく注目されてきました。コーナー3という言葉が注目を浴び、コーナーにも3秒ルールを設けた方が良いのではないかという議論さえもありました。
もはや戦略上においてリング周りを巡る攻防の次の最優先課題と言っても良いほど、どのカテゴリーにおいても、コーナーポジションの試合に与える影響力が大きいです。
なぜコーナーがこれほどまでも重要視されるのか?スリーポイントを打つことだけに有利なのか?決してそうではありません。今一度確認をしてみたいと思います。
コーナーポジションが生み出すメリット
コーナーポジションについてのメリットを一から見ていきたいと思います。
実際の動画を見ながらだとより一層理解が深まります!
スリーポイントシュートの物理的距離が近い
これは【コーナースリー】という言葉があるぐらい、よく言われることです。
若干距離が近く、日本においても世界においても、その確率は他のポジションからより高くなっています。距離的な問題とコーナーはキャッチアンドシュートが多いこともおそらく関係しています。
ドライブキックアウト時に最後まで視野に入る
オフェンスにとっては、ドライブやピックアンドロールを行う際に
最後の最後まで視野に入れやすい、パスを逃しやすいポジション
がコーナーです。
ゴールの裏からでもパスを出すことができ、ここにポジションを取ることで、ターンオーバーも減らすことができると考えます。
ディフェンスの死角を取りやすい
逆サイドにボールがある時、コーナーディフェンスは基本的にボールとマークマンを同時に見ることが困難になります。どちらも見ようとなるとディフェンスポジションを下げざるを得ず、ペイント周辺にスペースができてしまいます。そのため、首を振りながらボールとマークマンを捉えている場面が多くなり、どうしてもディフェンスにとっては死角ができてしまうのがコーナーポジションになります。
ゴールに背を向けるディフェンスにとっては、視野が取りにくく、オフェンスにとっては見えやすいポジション
だと言えます。
ペイントエリアに侵入しやすい
コーナーポジションは
ミドルドライブをした際に、ゴールに直線的に向かわなくともペイントエリアに侵入できる
ポジションになります。
ミドルドライブに対して、ディフェンスはインラインに入って、常にディフェンスしていても、オフェンスはペイントエリアの中心までは入っていくことができます。ペイントエリア内にペネトレイトされると自然とディフェンスも寄ってキックアウトもしやすく、ペイントエリア周辺でのムーブをしっかりと身につけることで、ペイントエリア内での確率の高いシュート打つことができ、得点の期待値も上がってきます。
ディフェンスラインを下げることができる
上の項目と深く関係しますが、ペイントエリア内へのペネトレイトがされやすいポジションなので、ボールがコーナーに入れば、ディフェンスはそれを警戒してヘルプポジションを取ります。自然とトップや逆サイドにはクローズアウトシチュエーションが生まれます。
NBAでは簡単なキックアウトスリーを打たせたくないので、なかなかディフェンスラインが下がりませんが、日本の育成年代で見ると、まずはペイントタッチを防ごうとするので、自然とヘルプに入ります。
これは自分の私見ですが、さまざまなディフェンスドリルをどのチームもやっているでしょうが、コーナーに対するディフェンスの共通理解を持っているチームは少ないように思います。
シェルディフェンスを行なっていても、ツーガードポジション、両サイドウイングの4箇所でのディフェンスドリルになっていることが多いように感じているため、コーナへの対処法がはっきりと指導されていません。これもコーナーがより活かせる要因の1つです。
キックアウトパスのシュートが打ちやすい
コーナーからのペネトレイトで出るキックアウトパスのシュートが非常に打ちやすいです。
上の2つとさらに関わり、ペネトレイト後のキックアウトパスはゴール方向から出てくるため、キャッチアンドスリーが打ちやすいパスになります。ポストプレーから出てくるインサイドアウトのパスが打ちやすいのと同じイメージです。
ピックアンドロール時の駆け引きの中心になる
ピックアンドロールが各チーム攻撃のメインになるチームが多いなか、確実にピックアンドロールからアウトナンバーを作れるボールハンドラーがどこのチームにもいるのではないでしょうか?
ピックアンドロールで基本的にアウトナンバーを作られた場合、ディフェンスは全て守ろうとするのではなく、どこかを捨てて、どこかを中心にして守ってきます。基本的にはコーナーディフェンスがダイブするビッグマンをタグ(ヘルプ)する形になります。
ハンドラーはピックアンドロールに絡む3人目のコーナーディフェンスに対して、どうプレーするかが重要になります。そのため、コーナーはピックアンドロール後のキックアウトやスキップパスからオープンになったり、ロングクローズアウトになるシチュエーションが多くあります。
コーナーポジションのデメリット
逆に数少ないデメリットを挙げるとすれば以下のとおりです。
コーナースリーの後に相手チームのブレイクが出やすい
これは感覚的によく言われることですが、実際にはコーナースリーが多いチームが被ファストブレイクが多いというデータはないようです。
トラップを仕掛けられやすい
サイドラインとエンドラインに囲まれているため、トラップを仕掛けられやすいです。しかし適切な視野と、準備をすることで基本的には回避できる要素であると考えています。
ことです。
まとめ
以上色々な要素を挙げましたが、コーナーポジションは
- 得点の期待値の高いショットが打てるポジション
- ディフェンスにとって見にくく、オフェンスにとって見やすい便利なポジション
- ズレやクローズアウトの生まれやすいポジション
- オフェンスのトレンドであるピックアンドロールにおいて、最も重要なポジション
とまとめられます。
チームオフェンスでこれまで以上に注目しなければならないスポットであるのは間違いなさそうです。
ぜひ自身のチームに還元していただければと思います。