圧倒的に不利なバスケットボールの特徴
今回は背の低いプレイヤー、【スモールプレイヤー】の生きる道について考えていきたいと思います。
バスケットボールというスポーツは、3m5cmの高さにゴールが設けられ、高さが圧倒的に有利になるスポーツといわれています。では身長のないプレイヤーが、絶対に活躍できないかと言われれば、決してそうではありません。
現在Bリーグで高校生Bリーガーとして活躍する元福岡第一高校の河村勇輝選手などは172センチ。日本代表のポイントカード富樫勇樹選手などは169センチと非常に小柄です。
アメリカNBAでも、スモールプレイヤーながらに活躍する選手はこれまで数多く出てきました。では背が低く、圧倒的に不利と言われるバスケットボールというスポーツの中で、結果を出すにはどうしたら良いのか。
現代のバスケットボールの流れも踏まえながら解説していきます。
現代のバスケットボールのトレンド
現代のバスケットボールのトレンドとなっているオフェンスの戦術として、ピックアンドロールがあります。
ピックアンドロール
ピックアンドロールをボールハンドラーとして使用する場合、
- 自ら得点できること
- クリエイトしたチャンスを絶対に逃さないこと
この2つが求められます。
またそれを守るディフェンスの立場からすると、
- スクリーンを回避できる機動力
- スイッチディフェンスに対応できる体の強さ
が求められます。
高速化するバスケットボール
またスモールラインナップや5アウトオフェンスなど、インサイドプレーヤーをあえておかずに、オフェンスを構成するのもトレンドとなっています。そのため、バスケットボールの高速化が進み、大型選手でも積極的にトランジションオフェンスを繰り広げるようになっています。
このようなバスケットボールの変化を前提として、スモールプレイヤーの生きる道を考えていきたいと思います。
スモールプレイヤーが身につけたい6つのこと
今回紹介するスモールプレーヤーが身に付けなければいけない6つのことをこれから紹介していきます。
多彩なシュートバリエーション
1つ目は様々なシュートバリエーションを持つということです。先ほど書いた通り、ピックアンドロールが主流となり、自ら得点できる能力が必要になります。ピックアンドロールを使って、自らシュートチャンスを作っても、最後ビックマンに対して、シュートを決めきるフィニッシュスキルスキルがなければ意味がありません。スピードを生かしてシュートまで持っていってもブロックにかかってしまうそういった苦しい場面も多くあると思います。そ右下ブロックを回避するスキルを確実に身に付けなければなりません。ブロックを回避するフィニッシュスキルは以下の記事と動画で詳しく解説しております。ご覧ください。
出所を読ませない様々なパスバリエーション
スモールプレイヤーにとって、決定的なパスを供給できるという事は必ず持ち合わせていなければいけない能力の1つです。これはむしろサイズの小ささを逆に生かすことができる場面の1つかもしれません。
スモールプレイヤーは他の大型選手に比べ、床に近い位置でプレイをしています。そのため、ディフェンスにとって取りづらい足元の場所を通すチャンスが増えます。
また、高さがないので、ディフェンスの上を通すパスは通りにくいと思いがちですが、そもそも自分より大きいディフェンスに取られるパスはパスの内容事前に判断が間違っていることの方が多いです。相手ディフェンスとの距離感をしっかりと測れば、ロブパスや上のパスはいつでも通せます。
基本的にスモールプレーヤはガードポジションを務めることが多いので、ピックアンドロールからのアシストパスやファーストブレイクを展開する決定的なパス供給が求められます。
自分の体の後ろから前から横から、あるいはディフェンスの上から下から横から、様々なアングルに対して、様々な身体の場所からパスをいつでも出すことができることが必要です。機動力を生かして、ディフェンスに対する前後左右高低の空間のズレを作り、パスをさばきましょう。
シュートレンジを広げること
これはスモールプレーヤーだけではありませんが、スモールプレイヤーはなおさら必要になってくる能力です。
例えば、ピックアンドロールで相手ディフェンスをスイッチさせた場面。相手ディフェンスにとって、1番怖いのはスピードのミスマッチをつかれてビックマンがスモールプレーヤーに1対1を仕掛けられることです。下の動画の場面。
https://twitter.com/coachk_k/status/1239917893447323649
しかし、外のシュートがないプレイヤーに対しては、ビックマンは抜かれないように引いて守るだけで、せっかくのミスマッチを生かすことができません。そのためシュートレンジを広げることでディフェンスにしっかり間を詰めて守らなければ、スリーポイントを打たれてしまうと思わせ、スピードミスマッチを生かすシチュエーションをつくらなければなりません。
また、ロングスリーを打つことができないとピック&ロールを使っても、いつまでもディフェンスはアンダーで守るようになります。アンダーで守らせないためにも、できるだけ長い距離のスリーポイントを打てることが求められます。
河村選手もそのことを理解してか、スリーポイントラインから1歩2歩離れてのスリーポイントは当たり前というシュートレンジを持っています。
身体を張ったディフェンス
身長が低いと言う事はバスケットボールにおいて、それだけでディフェンスの大きなハンデとなります。スペースを空ければ、空けるほど簡単に上のパスを通されてしまいます。
プレッシャーをかけてゲームコントロールさせない
相手のオフェンスとすれば、そのサイズの小ささを少しでもつくことができるようなオフェンスシステムをデザインしてきます。そのため、スモールプレーヤーは相手のガードに自由にゲームコントロールをさせないことが大切です。
- できるだけ前から高い位置でプレッシャーをかける
- 落ち着いてセットフェンスを仕掛ける余裕を持たせない
- シュートイン後もできるだけポイントカードにボールを持たせない
ことを意識すると良いでしょう。常にガードとして、ディフェンスの先頭に立ち、チームに勇気を与えるようなアグレッシブなプレーが求められます。下の映像は170cmの選手です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1231757528653946880
ポストディフェンスへの工夫
またインサイドにおけるポストディフェンスも同様です。
- できるだけボールをインサイドで持たせないこと
- 持たせたとしても、できるだけゴールに対して遠い位置で持たせること
が大切です。
むしろ機動力を生かして相手のポストマンの前に入り、裏のパスは周りにカバーしてもらうなどの工夫が必要です。
低さを活かすディフェンス
むしろ自身の背の低さを生かして、足元にあるボールを積極的に狙ったり、無防備になったビックマンのボールをスティールするなど、足元から相手のオフェンスの脅威になることが必要です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1237982008250253312
身長はさほど低くはありませんが、手の出し方など下の記事、動画で参考にしてみてください。
誰よりも早い切り替えの早さと的確な状況判断
これはスモールプレイヤーと言うより全ポイントガード、ガードプレイヤーに共通することです。チームの誰よりもバスケットボールを知り、バスケットを研究することがまず必要です。
切り替えの速さ
トランジションのシチュエーションでは、常に1番最初に切り替えをし、次のプレーに移らなければなりません。高さがない分、スピードでは誰にも負けないと言う気持ちを持つべきです。
このスピードというのは単純なドリブルや走るスピードだけでなく、パスのスピードや状況判断のスピードで補うことが可能です。
強みの最大化、弱みの最小化
自分の強みと弱み、チームの強みと弱みをしっかりと理解をすることが大切です。その上で自分やチームの強みを最大化すること、また弱みを出来る限り出さないように、プレイを選択することが必要です。
相手のビックマンに対して、スピードミスマッチを狙ったり、相手の狙ってくるミスマッチを生かすような攻めを逆にさせないなど、要するにバスケットボールをよく知るプレイヤーにならなければなりません。
俺の運動能力やボールハンドリング、シューティングで相手の選手を怯えさせることはできない。だからこそ、人とは異なったアプローチでより創造的な方法で突破口を見出さなければいけないんだ。 (ジェームズ・ハーデン)pic.twitter.com/BdXkWpREA3
— NBA選手の心に響く言葉 (@nbawordandmovie) March 17, 2020
コンタクトに負けないフィジカル
最後にコンタクトに負けないフィジカルを身に付けることが必要です。ディフェンスにおいても、オフェンスにおいても、これは必ず必要になるそ要素です。
オフェンス面
オフェンスでは、スピードや判断力を生かして、ペネトレイトをする場面があると思います。そうしたときにペイントエリアでのコンタクトや体のぶつかり合いは避けられません。その中でも姿勢を崩すことなく、プレーできるフィジカルの強さとバランス能力が必要です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1240161512095805440
ディフェンス面
またディフェンスにおいても、自分より大きな選手を守るのに、積極的なボディーチェックは欠かせません。ボールマンディフェンスでも相手に押し込まれない強さを身に付けること。オフボールディフェンスやポストディフェンス、リバウンドの際は体のぶつかり合いに負けていては、勝負になりません。そうしたコンタクトの中でもストレスを感じることなく、40分間戦い抜けるフィジカルの強さと気持ちの強さが大切です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1238674602429014022
まとめ
様々な要素を挙げましたが理解していただけたでしょうか。
下の動画も是非ご覧いただき、プロの世界で活躍するスモールプレイヤーがどんなプレーをしているかを、よく感じ、自身のプレーに生かしていただければと思います。