バッティング練習の定番のティーバッティング。ボールを実打する練習として、非常に手頃で省スペースでできる野球の練習中には当たり前のように見かける光景ですが、本当に実戦にその練習が繋がっているのか、打力向上に有効的な練習なのかということについて、再考していきます。
よく見る斜め前からトスを上げてもらって、打ち込むティーバッティングは実際のところどうでしょうか。実際の打撃動作と比較すると、メリットやデメリットなどが見えてきそうです。
この練習のメリットとしては、
- 動くボールを打つ練習になること
- 投げ手に合わせて、タイミングを取るため、タイミングを合わせる練習になること
- ボールを捉える感覚を養う、実打の練習ができること
などが上げられます。
一方でデメリットは、
- 斜めからボールが来るため、実際のボールの軌道と異なること
- 安全上、ひっぱり方向に打球が飛びがちで悪いバット軌道が身につく可能性があること
- 安全面に配慮が必要なこと
- ボールの軌道次第では、2段トップ(2度引き)の癖がつきやすい
- 目の前に小さなネットを置いて行うことが多く、打球に角度をつけたバッティングがしにくい
などです。どうしても実際のピッチャーとは違う角度からボールが投げられるため、気をつけて練習しないと、投げ手に向かって過剰に肩が入った状態から引っ張り込むという打球が増えてしまいます。また、投げ手側にもスキルが求められ、安全面からもこの練習のみを行うということは打撃力向上の観点からは非効率かつ実際の打撃と違う悪い癖が身につきやすいということが言えそうです。
メジャーリーグなどでは、斜めからのティーバッティングはほとんど行わず、スタンドティーを使用してのティーバッティング、投げ手の正面にネットを張って、投げる正面ティーなどを実践しているのがよく見られます。
しかし、日本のプロ野球などでは、この斜めからのティーバッティングを実践している場面も多く、明確な意図と投げ手のスキルを持って行うことで、有効な練習となります。
自身のチームでも斜めからのティーバッティングは以下の場面でしか行いません。
- 明確な意図や目的のあるドリル形式の練習の場合
- 施設や環境が足りない場合(ネットや場所がないとき)
です。明確な意図や目的とは以下の動画のような、様々なドリルを行う場合です。また、別記事で様々なティーバッティングについては解説をします。
さらに実際に行う場合は打者、投げ手それぞれでポイントを押さえ、徹底すること。
打者は
- 投げ手の方に身体を向けず、打ち込む先のネットに向かって、真っ直ぐ立ち、過度のクロスステップや肩が入りすぎることがないように気をつけること
- 打球方向に気をつけ、引っ張り込んだ打球にならないように打ち込むこと
- トップで2度引きせずにバットを出すこと
投げ手は
- 相手に打ちやすいボールを投げるという気持ちを持つこと
- 必ず立って投げる
- 山なりで垂れるようなボールを投げないこと
- 投げる前にボールを見せ、タイミングをしっかり取らせること
- 45度以上の角度からボールを投げないこと
- 一定のリズムでボールを引くこと
- 打者のベルトのバックル辺りに向かって投げる
- 距離が取れるならできるだけ離れて行う
を意識するだけで普段のティーバッティングの練習の質は大きく変わります。
世田谷西シニアの吉田監督も以下の動画でティーバッティングのトスの上げ方について、触れています。
世田谷西シニアチャンネル
また、実際にプロ野球で行われているティーバッティングのシーンを投げ手に着目して見てみると普段とは違う発見があるように思います。
ぜひ参考にしてみてください!