バスケットボールのゲームを進めるにあたって
勝利を掴むためには、試合の流れを冷静に読み取り、その場その場で的確な指示やアクションを取れるかが非常に重要です。
戦略やタイムマネジメント、選手交代といった要素を駆使して、試合状況に応じて、チームを動かす必要があります。
3つのゲームマネジメント
バスケットボールのゲームを進めていくにあたって、考えなければいけない3つの要素について、まず解説します。
戦略的マネジメント
戦術とは戦略に合わせ、ゲーム中に発生するそれぞれの状況を解決するための手段や方法のことです。詳しくは以下の記事で戦略と戦術についての違いも含めて解説をしておりますので、ご覧ください。
要するに試合状況に合わせて、ゲームプランの変更や具体的な作戦を組み立てて、実行していくことです。
タイムマネジメント
バスケットボールの非常に大切な要素である時間についてです。バスケットボールは非常に多くの時間に関するルールがあり、時間との戦いはバスケットボールの面白さの1つでもあります。
ロスタイム、アディッショナルタイム等もなく、ゲーム終了の時間が明確であるため、実際の点差と残り時間の計算をしながら、時間をどう使い、勝利に結び付けられるかを考えなければならない。
バスケットボールの特性については以下の記事でご覧ください。
漫画スラムダンクの名言で、
「1つ教えてやるぜ。バスケットは算数じゃねぇ」流川楓(湘北高校)
という名言がありましたが、自分自身は「バスケットは算数!むしろ数学に近い!」と考えています。
プレーヤーマネジメント
バスケットボールはチームスポーツであり、ベンチプレーヤーも含めたマネジメントが非常に重要である。バスケットボールは選手交代が自由で、何人でも何回でも交代できるところに戦術やマネジメントの面白さや逆に難しさがあると言っても過言ではありません。
交代のタイミングだけでなく、選手のモチベーションや組み合わせ等も考えたプレーヤーマネジメントが必要になります。
ゲームの進め方のプロセス
では、実際にゲームを進めていくにあたって考えなければいけない様々なプロセスを解説します。
ゲームプランの構築
まず、ゲームに勝利するためには、明確なゲームプランが必要になります。強いチームこそ、このゲームプランというのがしっかりとしているのは間違い無いです。以下の記事にゲームプランの構築の仕方、相手チームの分析の仕方を紹介しています。
是非ご覧ください。
基本的には以下の手順でゲームプランの構築とゲームの進行を行います。
- 相手の特徴を知る
- 目標を立てる
- 戦術を立てる
- プランを実行する
- プランを修正する
- ゲームに勝利する
ポイントとなるのは最初に目標となるスコアを設定することです。目標のスコアを立てて、そこから逆算するようにしていけば、ゲーム中にしなければならないことが必然的に見えてきます。その明確なプランがあるからこそ、フォーメーションなどの具体的な戦術も機能するということを忘れてはいけません。
タイムアウトの取り方
バスケットボールの重要な要素であるタイムアウトです。タイムアウトのルールは以下の通りです。
取れる回数
各チーム
- 前半(第1クォーターと第2クォーター)に2回
- 後半(第3クォーターと第4クォーター)に3回
第4クォーター残り2:00あるいはそれ以下のときには2回までしかとることはできない
また、使わなかったタイムアウトは次のハーフ、オーバータイムへは持ち越せない
- 各オーバータイムに1回
タイムアウトの時間
1回につき、1分
取れるタイミング
- ボールがデッドになり、ゲームクロックが止まったとき
- 最後のフリースローが成功して、ボールがデッドになったとき
- 相手チームのフィールドゴールが決まったとき
です。タイムアウトの1番の目的はゲームの流れの悪い時にその流れを止めるということです。連続で失点をしてしまったり、繰り返しミスが起きている時など、チーム状態が悪い時にタイムアウトをとることで、選手に考える時間を与えたり、戦術的な変更をすることができます。
しかし、見ていてたまに疑問に思うのが、タイムアウトを説教の時間にしてしまっている指導者、ベンチです。タイムアウトは指導者のストレス発散の場所ではありません。
タイムアウトは選手のために取るものです。
究極を言えば、タイムアウトを取らずに選手たちで考え、修正できるのならばその方が良いですし、練習ゲームなんかではあえて、タイムアウトを取らないという選択肢もあります。
- 悪い流れを断つ
- 修正した戦術を与えるor戦術の確認
- プレーヤーの休養
- いい流れを断ってしまう
- プレーヤーを混乱させる
- 相手を助けてしまう
選手交代の使い方
選手交代を何度もできることはバスケットボールの大きな特徴でs。
試合に出られるメンバー
基本的に12名まで
交代できる回数
無制限
交代できる人数
一度に何人でも同時に交代できる
交代できるタイミング
- ボールがデットになり、ゲームクロックが止まった時
- 最後のフリースローが成功してボールがデットになった時
- 第4Qの残り2分に相手チームフィールドゴールが決まった時
個人的にはベンチメンバーがアグレッシブにゲームに絡み、ベンチでも生き生きとしているチームは強いチームが多いです。交代したプレーヤーへのフォローやベンチメンバーへの動機付けなどをしっかりと行い、チームとして戦っているという意識を持たせることができれば、選手交代は大きな武器になります。
ゲームプランに沿った交代
タイムアウト代わりに使う交代
選手の調子が悪く、仕方なしに行う交代
モチベーションの低下を招く交代
時間の使い方
ゲームの終了時間が明確なバスケットボール。点数との戦いとともに時間の使い方をよく考えなければなりません。勝っている場面、負けている場面でそれぞれの時間の使い方を解説します。
勝っているときの時間の使い方
【勝っているから時間を稼ぐ】という考えはもっとも避けなければなりません。
時間を稼ぐ=ゴールを狙わない
と選手の中では脳内変換されがちです。いいバランスで攻められていたのに、それが崩れてしまうこともあります。
基本的には、
- 普段どおりゲームを進めること
- チームとしての約束事を明確にすること
をしっかりと意識をします。例えば、「必ずシュートで終わる」などと約束事をはっきりとしておけば、プレーヤーも混乱をせずに済みます。
負けている時の時間の使い方
負けているチームはなるべく相手に時間を使わせることなく点差を詰めたいところです。しかし、慌ててプレーをすることは絶対になくさなければなりません。
基本的には、
- ディフェンスでプレスやプレッシャーをかけ、早めに相手のオフェンスを終わらせる
- 共通認識でのシュートセレクションのもと、素早くオフェンスすること
が大切です。オフェンスの時間が短く、ディフェンスが長いというのは一番良く無いパターンです。残り時間にもよりますが、積極的なディフェンスからイージーショット、オープンシュートの数を増やすという考え方になります。
ファウルゲーム
ファウルゲームとは、ゲームの終盤にディフェンス側のチームがわざとファウルをして、時間を止める戦術です。チームファウルを5個以上貯めて、相手にフリースローを打ってもらい、失点のリスクと引き換えに時間を進めることなく、マイボールにするという考え方です。
ポイントはファウルゲームを始めるタイミングで、
- 残り時間
- 点差
- あと何回攻められるか
を考慮します。
いろいろな考え方があるかとは思いますが、自分自身は残り時間1分で5点から7点差ではファウルゲームを積極的に仕掛ける時間ではないかと考える。
ファウルゲームのメリットは
- 時間が止められる
- すぐにマイボールになる
ことです。
しかし、以下の通り、JBAのプレーコーリング・ガイドラインの中でボールに直接関係のないあからさまにファウルゲームを狙ったファウルはアンスポを取られてしまう可能性があるので、注意が必要です。(以下のマーカーの箇所を参照ください)
6.アンスポーツマンライクファウル(UF)
アンスポーツマンライクファウルについては、下記(1)~(5)のクライテリアに該当した場合、試合中全ての時間帯(試合の 終盤また得点差に関係になく)で適用し、アクション(起きた現象)のみで判断する。
(1)正当なバスケットボールのプレーと認められない、かつ、ボールに対するプレーでないと審判が判断したプレー
1ユニフォームを掴んで引っ張る行為は UF とする
2肘や足を過度に使うコンタクトは、相手プレーヤーに重大な負傷に繋がりかねない危険な行為であるためUF。
特に、首から上、顔面・頭へ肘を使ったコンタクトは非常に危険であるため DQ も判断基準とする
3肘を激しく振り回した場合は、ノーコンタクトでも TF の対象となる
(2)プレーヤーがボールにプレーしようと正当に努力していたとしても、過度に激しい触れ合い(エクセシブコンタ クト、ハードコンタクト)と審判が判断したプレー
1ボールにプレーしている場合でも過度な接触とみなされたファウル2手・腕などによる首から上へのファウルは、その度合いと選手の身を守るため危険なファウルと判断した場合、故意でなくても UFとする
3空中にいるオフェンスプレーヤーに対するディフェンスの危険なファウル
4笛が鳴ったあとや、ファウルの判定があったにも関わらず相手プレーヤーに続けてハードなコンタクトをおこすこと
5オフェンスのパンプ・フェイクなどで空中に飛んでしまった結果、いずれにせよファウルになると確信したあとで必要以上に相手のプレーヤーを掴んだり、腕を振り下ろしたり、激しく叩いたりすること
(3)オフェンスが進行する中で、その進行を妨げることを目的としたディフェンスのプレーヤーによる必要のない触れ合いと審判が判断したプレー
※このルールはオフェンスのプレーヤーがショットの動作に入るまで適用される
1ディフェンスしようとする努力をせず、ボールに直接、正当にプレーしていないケース
2正当なバスケットボールのプレーと認められない不要な接触
3リーガルガーディングポジションから外れ、ボールに対してではないファウルをすること
4リーガルガーディングポジションから正当にディフェンスをした結果のイリーガルな触れ合いはノーマルファウル
5オフェンスがボールを進めるのを止めることだけを目的とした不要なファウル
(4)速攻に出ているオフェンスのプレーヤーとそのチームが攻めるバスケットの間にディフェンスのプレーヤーが全く いない状況で、その速攻を止めるためにディフェンスのプレーヤーが、そのオフェンスのプレーヤーの後方もしくは 横から起こす触れ合いと審判が判断したプレー(ラストプレーヤーシチュエーション)
※このルールはオフェンスのプレーヤーがショットの動作に入るまで適用される
1パスミス・パスカット等があってもボールコントロールが変わっていない場合のファウルは NF。ただしボールにプレーせず正当なバスケットボールのプレーでないと審判が判断した場合は UF とする
2速攻でのレイアップ等で、AOS に対してのファウルは NF とする
3ラストのディフェンスがオフェンスの前にいる状況で、抜かれたあと、後ろからファウルをした場合は UF とする
(5)第 4 クォーターもしくは各延長(オーバータイム)残り 2 分の間で、ボールをアウトオブバウンズからスローインをするときに、まだボールが審判もしくはスローインをするプレーヤーの手にあるときに、コート上のディフェンス のプレーヤーが相手に起こした触れ合いと審判が判断したプレー(ラスト2ミニッツシチュエーション:L2M)
まとめ
ゲームを進めていくには、ここで紹介した内容をまず頭に入れておく必要があります。
自身のチームの実態に合わせて、ご活用いただけると幸いです。