前提として
スクリーンプレーは現代バスケットボールにおいて、必ず必要になる必須スキルです。様々なトレンドの変化はあっても、プレー中のどこかに必ずスクリーンプレーが絡んでいることがほとんどです。しかし、具体的な角度やセットの仕方など、細かい点に渡って意識されていることは少ないです。
スクリーンは成功すれば大きなチャンスやズレを生むものですが、選手同士の距離が近くなるので、不用意な意味のないスクリーンプレーはフロアのスペーシングを悪くし、攻撃を停滞させてしまいます。
スクリーンの種類やその意味などしっかりと理解をして、チームオフェンスに有効活用してください。
スクリーンの定義
スクリーンとは、バスケットボール競技規則によると、
プレイヤーがあらかじめ任意の位置を占めることにより、ボールをコントロールしていない相手チームのプレイヤーがコート上の望む位置に行くことを遅らせたり、妨げたりするプレイのこと
とあります。
JBAのプレーコーリング・ガイドラインによると、
リーガルスクリーンとは、
1)スクリーナーが止まっていて
2)両足が床についた状態で
3)シリンダー内で身体の触れ合いが起こるプレーのことである
とあり、また、イリーガルスクリーンとは、
1)相手の動きにあわせて、動いてスクリーンをかける(Moving Pick)
2)止まっている相手のうしろ(視野の外)でスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
3)動いている相手チームのプレーヤーの進路上に、相手が止まったり方向を変えたりして触れ合いを避けられるだけの距離をおかずにスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
4)シリンダーを越えた手・腕・肘、そして足・お尻等、身体の一部を不当に使ってスクリーンをかける
をイリーガルスクリーンと定義しています。
スクリーンの起源、コート内に柱があり、それをオフェンス側が有効活用して、攻めたことから始まったと言われるように、基本的にはセットしたら動かないということを頭に入れておく必要があります。
スクリーンをかけるにあたって重要な5つのこと
ディフェンスとの距離を取る
スクリーンをセットする前にスクリーナーはスクリーナーディフェンスとの距離をしっかりと取るようにしてください。そうすることで、スクリーンがかかったときのヘルプを難しくすることが出来ます。
そのためにスクリーンに行く時は、
- 全力でスプリントして、スクリーンをセットしに行く
- スクリーンセットの合図を送らない
- スクリーンをもらって、スクリーンに行く(ラムスクリーン)
を意識してください。
スクリーンアングルを意識
スクリーンはアングル(角度)がもっとも重要だと言っても過言ではありません。
スクリーンアングルは
- オンボールスクリーン時は、スクリーンをディフェンスの後ろの腰にセットする
- オフボールスクリーン時は、ユーザーを行かせたい方向に背中を向けること
を頭に入れてください。
コンタクトをしっかりする
ディフェンスに対して、コンタクトをすることを恐れてはいけないです。
スクリーンはディフェンスと接触することによって、そのあとの動きを妨げます。セットした後、接触しそうなタイミングで、十分なコンタクトを取らなければ、そのスクリーンの効果は半減してしまいます。
パワーポジションでのセット
スクリーナーはしっかりと足を肩幅に開いて、どっしりと構えましょう。
足幅が不十分ではディフェンスはスクリーンを回避することは容易になってしまいます。
コンタクトに耐えれるよう、しっかりとしたパワーポジションで構えてセットしてください。
イリーガルスクリーンに注意
動きながらスクリーンをかけるのは、ムービングピック、イリーガルスクリーンのファウルをとられてしまいます。どうしてもしっかりかけようとするあまり、動いてしまいがちですが、ダメだったら次のチャンスを狙うと割り切って、プレイをしてください。
スクリーンの種類
ここからスクリーンの種類を解説していきます。
オンボールスクリーン
- サイドピック
- ハイピック
- エルボーピック など
などと場所によって、名称が変わります。
バックスクリーン
バックスクリーンはディフェンスの背後にスクリーンをセットして、ゴールに向かって、ユーザーにカッティングをさせます。
うまく通れば、イージーレイアップを狙うことが出来、通らなかったとしてもスクリーナーがポップすることにより、その後のオフェンスの展開をスムーズに行うことが出来ます。
ダウンスクリーン
ダウンスクリーンは、スクリーナーがディフェンスとベースラインの方向を向いてセットするスクリーンです。ペリメーター付近でフリーを作ったり、ボールレシーブするために使用されることが多いスクリーンです。
クロススクリーン
よく用いられるのがペイントエリア内でのクロススクリーンです。
ボールサイドにいたスクリーナーが逆サイドにいるユーザーに対して、スクリーンをセットします。スクリーナーはスクリーンセット後、ハイポストに上がってプレーするのが一般的です。
ダブルスクリーン
2枚のスクリーンをセットして、より大きなズレを作るためのスクリーンです。
シューターセットなどで活用されることが多いスクリーンプレーの1つ。
ディフェンダーはスクリーンを避けるのに、より大きく回らなければならないため、大きなズレを作ることができる可能性があります。
ドラッグスクリーン
ドラッグスクリーンは、トランジションの際にアーリーピックに持ち込むような形でセットされるスクリーンです。スクリーナーディフェンスはこの場合、ヘルプをしたり、ヘッジをしたりするのにいいポジションを取れていないことが多いので、ボールハンドラを生かすのに、非常に効果的なスクリーンの1つです。
フレアスクリーン
フレアスクリーンは、ボールから離れた方向に向かって、セットするオフボールスクリーンです。アウトサイドシュートを得意とする選手にセットすることによって、効果的な展開を作ることが出来ます。
通常スクリーナーはスクリーン後はゴールへ向かってカッティングすることが多いです。
フラットスクリーン
フラットスクリーンは、ディフェンダーの背後にセットをするオンボールスクリーンです。ドライブの早いハンドラーに使用すると非常に効果的です。
エレベータースクリーン
2人のスクリーナーを使うスクリーンプレーですが、ダブルスクリーンと異なる点は、ユーザーが2枚のスクリーナーの間を通るということです。スクリーナーはユーザーの通過後、ドアが閉まるように進路を塞ぎ、スクリーンを完了します。
これもシューターセットなどで活用されることが多いスクリーンプレーです。相手チームもスイッチするなどして、対応してくるため、スイッチされて、ユーザーにボールが入らなかったとき、シュートが打てなかったときに次どうするかということをあらかじめ決めておくと良いと思います。
フレックススクリーン
フレックススクリーンは、ウィークサイド側にセットされたスクリーンを使用して、レイアップやゴール下のイージーバスケットを狙うスクリーンプレイです。
ハンマースクリーン
ハンマースクリーンはコーナーへのバックスクリーンでオープンシュートを打たせるのに効果的なオフボールスクリーンです。
ストロングサイドのドライブやピックアンドロールに合わせて、ディフェンスにバックスクリーンをセットし、コーナーに合わせます。
スタッガースクリーン
スタッガースクリーンは、連続した2枚のスクリーンをセットするスクリーンプレイです。2枚並んでセットするダブルスクリーンとの違いをよく確認してください。
UCLAスクリーン
UCLAスクリーンは、トップにいる選手に対して、ハイポストのエルボー周辺でバックススクリーンをかけ、ペイントエリア内の侵入を狙うスクリーンプレイです。
ホーンズスクリーン
2人のスクリーナーがボールハンドラーのディフェンスの両側を挟むようにして、セットするスクリーンです。
通常はトップのポジションでセットし、左右どちらも選択肢を与えることでディフェンスを混乱させます。
ラムスクリーン
オンボールスクリーン前に一度オフボールスクリーンをセットし、スクリーナーディフェンスのヘルプを困難にするためのスクリーンプレイです。1度、ダウンスクリーンをローポストにセットし、それを使ったユーザーがトップへスクリーンへ行くなどするのが一般的です。
ステップアップスクリーン
ステップアップスクリーンは、ローポストからウイングポジションにベースライン方向にスクリーンをセットし、ハンドラーのベースラインドライブを狙わせるオンボールスクリーンです。
フロッピースクリーン
フロッピースクリーンは、ユーザーはゴール下からスタートをします。両サイドにスタッガースクリーンとダウンスクリーンをセットし、ディフェンスの位置によって、どちらを使用するかを選択してプレイをします。
まとめ
今回はスクリーナーにスポットを当てた内容でした。
スクリーンプレイはスクリーナーとユーザーの共同作業です。密にコミュニケーションをとって、
- なぜこの動きをしたのか
- こうして欲しかった
- この角度にかけたらいいと思う
など意見交換が大切です。
今後、ユーザーにスポットを当てた内容も解説していきます。
どうぞご覧ください。