ピックアンドロールと聞くと
ピックアンドロールのスキルと聞くとどうしてもボールハンドラーがどうするのかということばかりに目が向きがちです。よく練習やスキルトレーニングで見るのは、ボールハンドラーのスキルばかりにスポットが当たってしまいます。
ピックアンドロールの成功にボールハンドラーのスキルはもちろん重要です。そこからボールが展開されるわけですから、最重要です!
しかし、ピックアンドロールが成功できるかどうかの要素をスクリーナーも半分を担っていることを忘れてはいけません。
ピックアンドロールを構成する要素
ピックアンドロールを行うにあたっての大前提をまず考えます。
ピックアンドロールは、以下の4つの要因によって成り立っています。
- ボールハンドラー =ボールを持っている選手
- スクリーナー =ボールハンドラーにスクリーンをかける選手
- オフボールマン =ボールハンドラー、スクリーナー以外のOFの3選手
- ディフェンス =相手のディフェンスの5選手
です。
そして、基本的な考え方として、
ピックアンドロールは
【2人のプレーヤーで瞬間的に2on1を作り出すプレー】
として捉え、そのズレを生かして得点につなげていくという考え方を持って欲しいと思います。
今回はこの4つの要素のうち、スクリーナーにスポットを当てて解説していきます。
スクリーナーの担う役割
シンプルに2on2の状態からボールハンドラーとスクリーナーとの間で瞬間的に2on1を作り出すにはスクリーナーとして担う割合はおおよそ半分の1:1です。
もちろんボールハンドラーの驚異的なボールハンドリングと状況判断によって、スクリーナーのスキルが乏しくても、ピックアンドロールを成功させてしまう場合ももちろんあります。
ピッグアンドロールを考えるにあたって、足し算方式で考えるとこんなイメージです。
相手ディフェンスのスキルが
ユーザーディフェンス 50 スクリーンディフェンス 40
だった場合
こちらのオフェンス側のスキルが
ボールハンドラー 90 スクリーナー 10
だった場合、単純に足すとオフェンスが勝ち、ピックアンドロールは成功となり、2on1を作ることができます。
しかし、ユーザーだけでの力では限界があり、スクリーナーの力が不可欠です。
まともに守ってくるディフェンスを相手にしたら、いくらボールハンドラーが脅威でも、チームディフェンスでそのプレーヤーを止めることはおそらく難しくありません。
逆に考えれば、
ボールハンドラーのスキルが50で、ディフェンスに対して劣っていたとしても、スクリーナーのスキルが60あれば、ピックアンドロールは成功させることが可能になります。
もちろんここに味方のオフボールの選手や残りのディフェンスの動きもあるので、ここまで単純な話ではありませんが、このようにしてみると、スクリーナーの重要性は理解していただけるのではないでしょうか。
スクリーナーの目的
ピッグアンドロールにおけるスクリーナーの目的は、
- ディフェンスを引き剥がし、オープンシュートが打てること
- アウトナンバーを発生させること
です。その目的を達成できることがグッドスクリーンと定義し、そのためになにが必要かを考えていきます。
グッドスクリーンとは?
グッドスクリーン(すなわち【いいスクリーン】)とは、下の4つです。
- アウトナンバーを発生させる適切な角度(アングル)
- ディフェンスに応じた方向調整 flip
- ファイトオーバーされない距離感
- アフタースクリーンの正しい判断
アウトナンバーを発生させる適切な角度
ここが1番スクリーナーの悩むポイントです。スクリーンをどの向きにかけて良いのかわからないという選手は多いのではないでしょうか。ピックアンドロールの行われる場所にもよりますが、
基本的は
- スクリーナーディフェンスのディレクションの方向に沿ってかける
- ディフェンスに対して90度の直角になるようにかける
- ハンドラーに行かせたいポジションに背中が向くようにかける
というのが基本です。
ディフェンスに対して、90度にかけることで
身体の幅が1番大きくなり、スクリーンにかかりやすくなります
https://twitter.com/coachk_k/status/1237733765733961728
また、相手のディフェンスの戦術に合わせて、角度や位置を微調整することも大切です。
コンテインに対して
コンテインとはスクリーナーのディフェンスがゴール方向に下がって、ボールハンドラーにドライブからの簡単なシュートを打たせないようにする守り方です。
このコンテインという守り方に対しては、ハンドラーディフェンスの斜め後ろにかけます。ディフェンスのお尻の外側にかけるイメージです。この時ディフェンスの真横だとスライドで抜けられやすいので注意が必要です。
ハードショーに対して
ハードショーとはスクリーナーディフェンスがボールハンドラーの進みたい方向に素早く飛び出て、ハンドラーをゴールへ向かわせない守り方です。時間を稼いでいる間に、スクリーナーのディフェンスは自分のマークマンに戻ります。
ハードショーに対しては、ハンドラーディフェンスの真横に立ちます。スクリーン後にすぐにロール・ダイブしやすい状況を作ります。
ディフェンスに応じた方向調整 flip
ディフェンスもスクリーンにかからないように、またはボールハンドラーに使わせないように位置や方向を変えてきます。その動きに応じて、スクリーナーも位置や角度を変えます。その動きのことをFlipともいいます。この微調整ができるかどうかが、ピックアンドロールの成功を決めると言っても過言ではありません。
下の動画はいずれもスクリーンのアングルを変えたスクリーナーの例です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1237740675401015297
https://twitter.com/coachk_k/status/1237728030455238657
最近のディフェンスの守り方だと、スクリーンを使わせないように、オーバーシフトして、【ICE】で守るのが主流です。そうした守り方に対して、サイドピックからフラットスクリーン、ステップアップスクリーンに切り替えたりするのがここに当たります。
ファイトオーバーされない距離感
角度と合わせて、距離というのも大事な要素です。ディフェンスに近すぎたり、遠すぎるとファイトオーバーされたり、アンダーで守られたりして、スクリーンが意味をなさないという場面が出てきます。
アフタースクリーンの正しい判断
スクリーナーはスクリーンをかけることだけが仕事ではありません。むしろ、そのあとに1番の仕事が待っています。ボールハンドラーがチャンスをクリエイトしても、その場にただ意味もなく、ステイしていたがために、チャンス潰したという場面を育成年代ではよく見ます。
ディフェンスに応じて、
- ゴールへダイブするのか
- ポップするのか
- リピックするのか
- 他の選手にスクリーンをかけにいくのか
などディフェンスに応じた判断が重要です。
バッドスクリーンとは?
バッドスクリーンとは、上で説明したことと全て逆で、
- 角度が悪くディフェンスがかからない
- 常に同じ角度でディフェンスに対しての微調整がない
- 距離が近すぎor遠すぎてかからない
- アフタースクリーンの動きがない
ということが言えます。
まとめ
グッドスクリーンとバッドスクリーンに関して、ご理解いただけたでしょうか?
それぞれのチームコンセプトや相手のディフェンスの守り方によって、ピックアンドロールの攻め方は様々です。その根本にあるスクリーンの掛け方について、大原則を解説いたしました。
ぜひ活用されてみてください。今後、ピックアンドロールに関して、さらに深掘りしていこうと考えています。