オフェンスの整理はバスケットボールにおいて、最大の課題です。
今回はオフェンスの戦術に関して、基本的な4つの戦術分けを解説します。
オフェンスにおける戦術は、プレーヤーの動きの自由度によって、主に4つの戦術に分かれます。
今回はその4つを紹介します。
前提として
4つのオフェンスの方法のそれぞれで、明確な線引きがあるわけではありません。周りからセットオフェンスだと見えても、チームの中ではオプショナルオフェンスだと捉えられていたり、モーションオフェンスのように見えても、技能の高いチームが実はフリーオフェンスをしていましたということはよくあります。
NBAでも日本のBリーグなどのトップリーグのチームでも、オプショナルオフェンスのようにある程度の約束事や制限された動きの中で、最適な選択を選ぶオフェンスの方法が主流になっています。
フリーオフェンス
文字通り、「フリー」「自由」な動きで攻めるオフェンスの戦術です。
コート上の5名の選手がそれぞれの考えで状況判断を行い、そのときに最適なオフェンスを構築し、攻撃をします。
このフリーオフェンスを機能させるには、コート内のプレーヤー全員が高い判断能力、プレーの実行能力、個人技を持っていないと成立しません。逆に言い換えれば、個人のスキルや能力がそのままゲームの結果に反映されてしまう戦術になります。圧倒的な実力差がある場合やある程度の成熟をしたプレーヤーが多くないと機能しないため、育成年代ではなかなか実施することは困難なオフェンスです。
しかし、高いバスケットボールIQを持っているチームや集団であれば、フリーオフェンスの中でも色々なコンビネーションプレイを生み出すことができます。
はっきりいうと、なかなか現代のバスケットボールのゲームでは目にすることが少ない。特に決まり事がないため、体育のバスケットボールや昼休みのバスケットボールなどでしか目にすることはない。
特定のアライメントや動きが特に決まっていない中でも、それぞれがディフェンスやオフェンスのプレーヤーを見ながら判断し、自由にプレーできるというのは一種、理想かもしれないが、現在のプロバスケットボールの世界で採用しているチームは皆無と言っても過言ではない。
モーションオフェンス
フリーオフェンスの中に、ある程度の約束事やルール、禁止事項を作っておきながらオフェンスを実行する戦術です。セットオフェンスとフリーオフェンスの中間に位置するオフェンスであり、セットオフェンスのように、決められた選択肢常にあるわけではありません。
例えば、
- 「アウトサイドシュートを打つのは、ペイントエリアに一度ボールを入れてから」
- 「キックアウト後のファーストオプションは3Pシュート」
- 「3Pシュートを打つときは、必ず逆サイドから展開されるパスでスペースができた時だけ」
- 「パスを出したら、カッティング」
というような約束事を決めた上でオフェンスを作っていきます。こうした約束事やチームルールがあることで、1つの動作に連動して周りが動くことで、
「どう動けばいいか分からない」
「周りのプレーヤーの邪魔をしてしまう」
というプレイヤーに対して、動きの指針を与えることになり、オフェンスの混乱を解消することができます。
セットオフェンス
セットオフェンスはチームとして、必ず決まった動きを行い、攻撃をするオフェンス戦術です。基本的にはコールされた時やクオーターエンド、タイムアウト後にプレイをスタートし、チームとして必ず決まった方法で攻撃します。
ノーマークになりやすいプレイが効率的に組み込まれているので、成功すれば、得点の可能性は高まります。一方で、スカウティングされることで、相手に動きを読まれ安く、対策することで、それらのセットオフェンスを防ぐこともできます。
どうしても戦術数が多くなりがちなので、動きを覚えたり、意思疎通をすることがとても大変なオフェンスになります。
オプショナルオフェンス
様々なシチュエーションにあらかじめ選択肢を設けておいて、それを共有する中で、ゲーム中の状況に合わせてプレーを選択していくオフェンスの方法です。
アライメントを形成したら、エントリーの動きを選択します。エントリーの動きの後はその後の選択肢をツリーのように枝分かれさせて、選択肢を用意しておき、攻撃を展開していきます。
例えば、
- ウイングへパスが出る→UCLA→サイドピック
- ウイングにパスが出ない→ハイポストフラッシュ→バックドア
などディフェンスに対しての状況やオフェンスの動きの成功or失敗から次の選択肢の中から動きを選択していきます。
4つの戦術を整理する
4つのオフェンスを整理すると以下のような表になると考えられます。
目指すべきオフェンス
このオフェンスが正解、一番いいというものは存在しません。チームの文化や指導哲学の中、選手のスキルや実態に合わせて、様々なオフェンスの展開を模索することが大切です。
しかし、多くのチームが
「ルールのある中での自由なプレイ」
「コントロールされた動きの中での、自由なプレイ」
というような形が最終的なオフェンスの終着点だと思います。
一番スムーズにここにたどり着く筋道としては、
セットオフェンスに近い形でオフェンスのルールやパターンを教えていき、少しずつ自由度を高めて、モーションオフェンスやオプショナルオフェンスの要素を入れていく
というイメージが指導する際に一番スムーズであると考えています。
様々なご意見をいただけると幸いです。