3メンって本当に必要?
多くのバスケットボールの指導現場で行われている3メンの練習があります。その頻度はさておき、誰もが経験したことがある練習ではないでしょうか。中には
- 2時間以上3メンをやった
- ノーミスで何人成功しないと練習を終わらない
というような3メンの取り入れ方も聞いたことがあります。
では、何を目的にして3メンを行っているかもう一度考えてみましょう。3メンはエンドラインに3名の選手がミドルマン1人、ウイングに左右1人ずつ並んだところからスタートをします。通常のスリーメンだと、ミドルマンから左右どちらかにパスを出して、3パスでレイアップシュートまで行き、それを往復やそれ以上の設定で行うというものです。
イメージが湧いたところで、実際にこのシチュエーションって試合の中であるかを考えて見てください。実際にはなかなかこのシチュエーションって生まれないんです。というより、ファストブレイクはリバウンドやルーズボールから始まることが多く、決まった位置や動きからファストブレイクを出すというのは、セットプレーと違って、ほとんどありません。
ということは
3メン=ファストブレイクを出せるようになるための練習ではない
ということがわかるかと思います。
3メンの練習の意味
じゃあ3メンって何も意味ないの?と言われれば、それは【NO!!】です。闇雲に意図もなく、盲目的に3メンをひたすらやることが効果的でないだけで、どの練習も意図をしっかりと持って練習をすることで、意味のある練習になります。
例えば3メンは、
- 動きのあるランニングプレーでの基本的なパス交換としての練習
- ただランニングするのではなく、パス交換をしながらのウォーミングアップを兼ねての練習
- ランニングシュートのフィニッシュの練習
- 心肺機能を高めるための練習
として意味づけをすることで、意味のある練習になってきます。
3メンの工夫
3メンを行うにあたってできる工夫としては、
- 1.5往復で行い、全員がシュートを打てるようにする
- ラテラルの3メン以外にも側線やドリブルを入れた異なる形で行う
- 3パスに拘らず、余分なパスを入れて、シュートまでいく(タップパスなど)
- フィニッシュに様々なスキルを混ぜる
- チーム全体で3メンシューティングの形で行う
- 1.5往復後にコートサイドをハリーバックからバックペダルでスタート地点まで戻る
など様々な工夫ができます。ただ意味のない練習として、切り捨てるのではなく、どう工夫したら意味のあるものになるかを常に考えることが大切です。
ファストブレイクを出すために必要なこと
ここから本題に入ります。
3メンが直接的にファストブレイクに繋がらないことは理解していただけたと思います。ファストブレイクを出すにあたって必要な要素であって、3メンにはないものを考えていきます。
それは、
リバウンドをとってから、どうファストブレイクを出すかという局面
の要素が足りないということです。ファストブレイクを出すには、ここのプレーの局面が非常に大切です。
ファストブレイクを出すには
ファストブレイクが出るかどうかは、3メン速攻に限らず、どの形、人数でも、
リバウンドをとってから2プレーのテンポと速さ
が非常にポイントです。
リバウンダーがリバウンドをとってから、1プレー目が遅いと、それだけでファストブレイクのチャンスは無くなります。最初のプレーが速く出ても、次の2プレー目で、ディフェンスに妨害されたり、スペーシングが悪く、スピードに乗れないと、これもファストブレイクが出ません。大体、リバウンドをとってから2秒でフロントコートを超えるようなイメージでいくといいと思います。
具体的な約束事
2プレー目までのテンポと速さが大切なことはわかりました。では、具体的にどう解決していったら良いでしょうか。それはチームである程度の約束事を作ることで解決できます。チームごとに特徴も違うので、全てのチームに当てはまるわけではありませんが、いくつかの例を紹介します。
リバウンドサイドで分ける
リバウンドが落ちて、リバウンダーがボールを確保した時にいたサイドのことをリバウンドサイドといいます。このリバウンドサイドでファーストレシーブを受けるサイドを決めてしまうというものです。リングの左側で受けたら、そのサイドにいた選手がファーストレシーブをして、逆サイドの選手が先頭を走る。というようなものです。
ポジションで固定する
これが一番判断の要素もシンプルでわかりやすいとは思います。ファーストレシーブを受けるのを、
- 基本的にポイントガードに固定する
- アウトサイドの選手の誰かが必ず受ける
というように特定の選手に固定してしまう方法です。
こうすることで、迷わず先頭を走る選手とボールプッシュをする選手が別れることができ、効率的なファストブレイクが展開できます。
これには1つデメリットもあって、育成年代では、ポジションを固定するあまり、ボールプッシュする選手は自然とドリブルのハンドリングやボールプッシュのスキルが身につくものの、それ以外の選手がその経験をできないという点です。しかし、育成年代ほど、シンプルな役割わけで実践しやすいという、メリットとデメリットの両面を含んでいる考え方なので、時期や選手個々の能力に合わせてチョイスする必要があります。
育成年代で逆に取り組んでも面白いと思っているのが、
誰がとってもリバウンダー自身がドリブルでフロントコートまでは運ぶ
というものです。こうすることでファストブレイク主体のチームは、全員がボールプッシュできる可能性が出てきます。
ポイントガードを務める選手は下で解説しているようなことを意識してもらえるとより、効果的にファストブレイクを出すことができます。
まとめ
ファストブレイクを出すためのコツをひとつ紹介させていただきました。もちろんこれだけではなく、ファストブレイク前のリバウンドの確保やルーズボールの確保、出したファストブレイクを決めきるフィニッシュスキルももちろん必要です。
まず【ファストブレイクを出す】ということにスポットを当てましたが、今後具体的な練習や様々な要素についても触れていきたいと思います。