激しいディフェンスの後のファストブレイクのシチュエーション。どのチームも必ず得点につなげたいところです。しかし、速攻を出したはいいものの、組織的な連動したオフェンスが展開できず、
- 結局セットオフェンスになってしまった
- フロアバランスが保てず、ターンオーバーに
というようなチームはありませんか?
ガードやウイングプレイヤーは何となく役割が決まっているので、動きも理解しやすいですが、ファストブレイクから確実に得点をするには4番・5番の選手の動きが極めて重要です。
今回は4・5番のインサイドプレイヤーのファストブレイク時の動き方について、解説をします。
トランジションオフェンスでのそれぞれのレーン
まず初めに簡単にトランジションオフェンスでの走るレーンについて、説明をします。
トランジションオフェンスではオールコートを縦割りにして、それぞれ5つのレーンに分けます。下の図の通り、
- ①ハーフスペース/トレイルレーン
- ②サイドレーン/ウイングレーン
- ③ミドルレーン
と3つの名称の5つのレーンに分かれます。
様々な呼び方があるかと思いますので、各チームごとに分かりやすい名称を決めていただければいいかと思います。
ハーフスペース
ポイントガードは①のハーフスペースでボールをプッシュします。
なぜ真ん中ではないかというと、
- 後ろから追ってくるセンターの選手やディフェンスが見えやすい
- 同じサイドのコーナーとの距離が適切
- そのままピックプレイ(Pick Play)に移りやすい
- どちらのサイドで攻撃を展開するかがウイングが読み取りやすい
- センターの走り込んでくるスペースが確保できる
をいった理由です。ガードが気をつけなければならないことはまた今後解説します。
サイドレーン
ウイングプレイヤーは②のサイドレーンを全力で駆け上がります。
この時目一杯広がって走ることで、
- 視野を確保できる
- ボールとゴールが両方とも視野に入りやすい
- 他の選手へのスペースの確保
が出来ます。
また、よくあるミスですが、トランジションの流れで、ウイングポジションにストップしてしまうことがよくあります。こうしてしまうと、
- ハンドラーがペネトレイトした時に合わせが出来ない
- ディフェンスが簡単にヘルプできてしまう
- ゴール下までペネトレイトできない
ということが発生してしますため、しっかりとコーナーまで広がることを意識してください。また、両ウイングの走るコースが被った場合は、先に走る選手がスイングして、両サイドへポジションを取るようにします。
ミドルレーン
ここをリバウンドを取った選手などの4番・5番の選手が活用します。
今回はここについて、解説をします。
センターの役割
ここから4番・5番のインサイドプレーヤーの役割について解説をします。
4番・5番のトランジション時の状況として、大きく2つに分けて判断をします。
- リバウンドを取らなかった場合
- リバウンダーになった場合
です。
リバウンドを取らなかった場合
リバウンドを取らなかった場合は一目散にミドルレーンを駆け上がり、リムランをします。
ボールハンドラーより前にいれば、
無条件でランニングシール
という動きをします。
逆にボールハンドラーより後ろにいる場合、
ペイントエリア内に相手ビックマンがいない場合
→スペースをアタックorランニングシール
ビックマンが戻っていて、スペースがない場合
→ドラッグスクリーン(アーリーピック)
に移ります。
リバウンドを取った場合
リバウンドを取った場合はガードへのアウトレットパス後、ミドルレーンを走ります。
前を走るもう1人のインサイドの動きに合わせて、オフェンスを選択します。
前を走るインサイドがランニングシール
→ドラッグスクリーン
前を走るインサイドがドラッグスクリーン
→逆サイドウイングへ
ここからそれぞれの動きについて、解説します。
ランニングシール
ランニングシールというのは、ミドルレーンを駆け上がり、そのままゴール下でシールする動きのことを指します。
ランニングシールのメリットは、
- セーフティをとっているディフェンスとのミスマッチが生まれやすい
- 早いタイミングポストにボールが入れば、ヘルプがおらず、広いスペースでポストプレイができる
- しっかりとシールすることで、ペネトレイトするスペースができる
- ディフェンスラインが下がるので、ペリメーターでのクローズアウトシチュエーションが起きる
- ディフェンスにスイッチを強いるので、マッチアップのミスやスピードミスマッチがどこかで生まれる
- シールしたコンタクトが、そのままペネトレイトのコースを空けるクリアアウトにつながる
ことです。
センターが走れるチームは強い!というのはこういうことに関係しています。
- リムランしたプレイヤーは縦パスをレシーブする意識を持ちながら、ゴールへ向かう
- ペイントエリアに入る時にそのままディフェンスにコンタクトをとり、ゴール下まで押し込む
- シール後は3秒に気をつけながらコーナーにボールが落ちてアングルチェンジした先でもボールが受けられないかを考える
といった流れでプレイを続けます。
ドラッグスクリーン アーリーピック
ボールハンドラーのドリブルの流れを止めずにそのままオンボールスクリーンに持っていくことをドラッグスクリーン、アーリーピックを呼びます。
https://twitter.com/coachk_k/status/1232533093346467841
ディフェンスが整っていないうちにピックプレイが始まるため、ヘルプすることが困難
役割分担をはっきりすることで、オフェンスのリズムを止めない
ビックマンディフェンスがヘッジしたり、ショーディフェンスすることが出来ない
ことなどです。スクリーナーがこの時気をつけることは、
- ユーザーディフェンスがアンダーではなく、オーバーで守りたくなるような位置にスクリーンセットすること
- 基本的にゴールへダイブすること
です。
トランジションにおけるインサイド
トランジションオフェンスにおけるインサイドの役割は以下の通りです。
- リムラン、ランニングシールをして、得点を狙う
- オフェンスの流れを崩さず、アーリーピックなどの展開を作る
- トランジション3Pに備えて、リバウンドの準備をすること
です。まずはシンプルに動きを整理して、流れのあるトランジションオフェンスをガードの選手らと共に作っていってください。
YouTubeチャンネルでも解説しました!
動画を見ながらぜひ実践してみてください!