ワンハンドシュートも徐々に多くなってきてはいるものの、日本の女子の選手のアウトサイドシュートは未だ、両手で打つツーハンドシュートが主流です。
しかし世界に目を向けると、両手を使ったツーハンドシュートを打つ選手はあまり見かけません。むしろ日本だけなんじゃないかと思うぐらいです。
フランスのMarine Johannes選手なんかはとても綺麗なワンハンドシュートを打ちます。
ツーハンドシュートの背景
第二次世界大戦中や戦後は日本だけでなく、男子でも世界中でツーハンドシュートが見られたようです。しかし、その後、男子において、フィリピンとの国際大会が行われた際にフィリピンの選手のワンハンドシュートを見た日本人男子は少しずつワンハンドシュートが増えていったそうです。
しかし、世界では、日本男子がそれを知るもっと前からワンハンドシュートが主流になっていたと言われています。
一方、日本女子は対照的で、昭和30年ごろまで世界大会への出場も多くなく、世界との関わりが少なかった。当時はもちろんネット社会も発展していませんし、こうして映像等も簡単に見ることもできませんでした。
そうした中で昭和30年代後半から積極的な交流が始まり、日本女子は世界になを轟かせることになります。世界選手権では準優勝を達成するなど、オリンピックの常連となっていた。それで結果が残っていたこともあり、日本はことシュートに関しては、オリジナルのシュートフォームでツーハンドを採用し、世界とスキルの面で一緒の形にすることなく、現在に至っているということです。
以前は海外でもツーハンドシュートを採用する国もあったが、現在はほとんどの国でワンハンドシュートを使っています。
昨年のウインターカップの女子1回戦のハイライトですが、シュートシーンのほとんどがツーハンドシュートを使用しているのがわかります。
ツーハンドシュートは実際どうなのか?
ここからはツーハンドシュートのメリット・デメリットを見ていきます。
ツーハンドシュートのメリット
ツーハンドシュートのメリットは、
- 両足、両手で安定したバランスをしっかりとキープできること
- セットからシュートまでの距離が長く、安定した軌道のため、安定した姿勢で打てば、シュートの確率が高まる
- 2つの手でシュートするので、力が出せるので、距離が出やすい
ということです。
女子選手がなかなかワンハンドでは届かないけれど、ツーハンドならスリーポイントも届くというのは単純に2つの腕から力を出力しているからです。
ツーハンドシュートのデメリット
一方、ツーハンドシュートのデメリットは、
- 軸がぶれたり姿勢が安定しないと、一気にシュートがブレやすくなる
- ポストプレーやターンなどの動きが入るときに微調整がしにくい
- 基本的にはリングに正対しないシュートが打てない
- プレースキルの幅を狭めてしまう
ということです。
プルアップジャンパーなどで多少バランスを崩した時など、ストップ後に身体のブレをしっかりと修正してからでないと打てません。
ワンハンドシュートにチャレンジ?
では、今度はワンハンドシュートについて、見ていきましょう。
ワンハンドシュートのメリット
ワンハンドシュートのメリットは、
- リリースする方の腕、シューティングハンドによる軸一本になるので、ブレにくい
- 打点が高くとれる
- ポストプレーやターンなどの動きが入った時に微調整がしやすい
というようなメリットがあります。
ワンハンドシュートのデメリット
ワンハンドシュートのデメリットは1つです。
- 小学生や中学生の育成年代の時期に筋力が足りず、シュートレンジが狭まる
というようなことが挙げられます。
どっちを採用すべき?
それぞれのメリットやデメリットを見た時に、ではどちらを採用するべきなのでしょうか。
明確な答えはない
厳密にいうと
「その人次第」
というのが正解かもしれません。
バスケットボールを始めたての女子選手はもちろんワンハンドシュートではロングレンジのシュートは打てないでしょう。
しかし、粘り強く練習することで、女子選手でも、小柄な選手でも、スリーポイントラインからのワンハンドシュートを身につけることは可能です。
そうして粘り強く練習し、ワンハンドシュートを身につけた選手はその先どうか?
選手として、プレーの幅が広がった、明るい未来が待っているかもしれません。
小さい頃からツーハンドで練習していると身体は自然とその動きを認識して、回路としてその動きを覚えます。すると、いざワンハンドへ変更する時には、かなりの時間がかかります。長い期間そのフォームで練習してきた選手の方が、洗練されたフォームで打てることは明確です。
高校生に上がった段階でツーハンドからワンハンドへ変更する選手もいますが、自分は必ずしも得策ではないと思っています。並大抵の努力では、身体に身についたクセは修正できないからです。それなりの覚悟を持たないとかなり厳しいように感じます。
ワンハンドシュートの方が確実にメリットも多いですが、誰しもがそれを目指す必要はありません。現に女子日本代表でも本橋選手のように小柄でツーハンドシュートでも十分世界に通用する選手もいます。一方で宮澤選手や渡嘉敷のようにワンハンドシュートを身につけて戦う選手もいます。
ツーハンドで圧倒的なスピードやアウトサイドシュートを磨くのもアリですし、ワンハンドシュートを身につけて、プレーの幅を広げることも価値があります。
練習をしていれば、女子選手でも必ずワンハンドシュートは打てるようになります。
指導しているチームの小柄な(女子はるかに小さい)男子の選手も、初心者ながら、すぐにワンハンドで届くようになりました。
ジュニアの育成年代からワンハンドシュートに挑戦してみる価値は絶対にあります。
この記事を読んで、メリット、デメリットを考えながら最終的には自身の決めた道を進んでいってください!