センターの役割について、トランジションシチュエーションでのランニングシールやドラッグスクリーン、ポジション取りに関するディープローという考え方を紹介しました。今回はさらに新しく、【クリアアウト】という動きについてです。センターの役割というより、チーム全体でこういうプレーの意識があるとチームオフェンスの周りも良くなりますし、サイズに関わらず、覚えて欲しい動きです。
クリアアウトとは
クリアアウトClearoutとは、
インサイドにポジションをとるプレーヤーが自分のDFに対して、ポストアップするようにシールし、アウトサイドプレーヤーのためのコースを空けるプレー
です。シールスクリーンとも言われることもあります。
https://twitter.com/coachk_k/status/1228261832307007489
これは200cmを超えるビックマンたちがしのぎを削るNBAでもはや当たり前のスキルとされているものになります。日本の高校生年代でも200cmを超える留学生やビックマンが当たり前にいる時代です。クリアアウトは、トランジションの速さや驚異的な身体能力を生かしたブロックが生まれる今のバスケットボールにおいて、とても大切なスキルの1つです。
大学カテゴリーでもすでに常識です。
https://twitter.com/coachk_k/status/1208323988880932865
オフェンスをしているとどうしても、
目の前の1人ディフェンスをやっつける、そして次に来るヘルプに対してどうオフェンスをするか
ということを最優先に考えます。これは決して間違っていません。むしろ前提として、これを考えなければ、個人としても、チームとしてもオフェンス力の向上はありません。
しかし視点を変えて、ここで解説するのは、【ヘルプに対してどう得点するか】ではなく、【そもそもヘルプさせないスキル】についてです。
センターに限らず、身につけて欲しいオフボールスキルの1つなので、是非ご覧ください。
クリアアウトのシチュエーション
主に3つのシチュエーションにおいて、クリアアウトは使用されます。
Youtubeに配信している動画を見ながらだとより理解が深まるかと思います。
1つずつ紹介をしていきます。
ペネトレイトシチュエーション
ボールサイドのポストにポジションをとっている時に、ドライブしてきたプレーヤーに対して、相手ディフェンスがヘルプに行けないように自らのディフェンスに対してシールして、ドライブコースを空けるパターン
です。
インサイドでボールを受けられなかった時に、そのままディフェンスを離してしまうのではなく、ドライブを仕掛けそうだというタイミングでしっかりとシールすることでドライブコースを確保することができます。
トランジションシチュエーション
トランジションオフェンスにおけるクリアアウトも極めて効果的になります。
トランジションにおけるインサイドプレーヤーの役割は以前の記事で紹介した通り、ゴールへ向かって走るリムランからランニングシールをするというのが基本です。
そのランニングシールがそのままクリアアウトに繋がります。
ここで重要なのがドライブをするボールハンドラーです。
インサイドプレーヤーがランニングシールをして、クリアアウトをしている方向をよく判断して、ペイントエリアに入っていくということが大切です。
自分で得点ができなくても、リムランする事で結果的にチームにプラスをもたらしてくれます。
ピックアンドロールのシチュエーション
ピックアンドロールシチュエーションでは、
- スクリーナーとしてのクリアアウト
- オフボールシチュエーションのクリアアウト
があります。
スクリーナーのクリアアウト
スクリーナーのクリアアウトは、
- ダイブ時にスイッチしたディフェンスに対して行うもの
- タグ(ヘルプ)に来るディフェンスに対して行うもの
- アングルチェンジ後に行うもの
があります。
スクリーナーはダイブした後、ボールをもらえないと判断すると、そのままミドルポストあたりで立ち止まってしまうプレーヤーが多いです。
しかし、スクリーナーの仕事はむしろその後です(アフタースクリーン)。
- アングルチェンジの瞬間にシールをして、ポストアップをして得点を狙うこと
- ボールが入らなくとも、そのシールをクリアアウトとして生かし、アウトサイドプレーヤーがドライブで得点をする
というパターンが存在します。
オフボールシチュエーションでのクリアアウト
ピックアンドロールのオフボールシチュエーションでは、タグに行こうとしているディフェンスに対して、クリアアウトするというパターンです。
まとめ
味方のために身体を張れることは、インサイドなどのポジションを問わず、とても大切な要素です。スピードや高さが注目されるバスケットだからこそ、そこで勝負するのももちろんバスケットの面白さですが、スピードや高さを相手に出させないという違った視点からバスケットボールを考えるとプレーの幅がひろがり、ますますバスケットボールが面白くなります。
また、スタッツには現れませんが、これも得点をクリエイトする【アシスト】の1つです。むしろ単純なアシストより、身体を張っている分だけ、より一層評価されてもいいプレイだと考えています。
クリアアウトをもらったアウトサイドプレーヤーがこのプレイに対して、声かけをすること、指導者の方が評価する声かけをすることで、このような泥臭いプレイも積極的にチームために行えるようになるのではないでしょうか。
今回は言語と作戦盤ではなかなか表現しづらい箇所が多くありました。Youtubeの動画を参考にしていただけると、より理解が深まります。どうぞ参考にしてください。